伊藤SPE日本支部長挨拶

プラスチックとその加工技術の持続的に発展するために

2021年6月現在、世界中では新型コロナウイルスが蔓延し、未だ終息の予想はできない。日本ではこれまで、第四波といわれる大きな感染拡大を経験してきた。最近、日本でもワクチン接種が進み、この秋までには多くの方々はワクチン接種を経験することになるかと思われる。しかし一方で、ワクチン接種が先行した諸外国では再感染拡大も経験しており、我が国においても同様なパンデミックは容易に予想される。ワクチン接種は本質的な解決にはならず、効果的な治療薬の開発が進むことが最も必要不可欠となろう。来年2022年以降もこのコロナウイルスによって生活制限がなされると感じる今日この頃である。
 さて、新型コロナウイルスの影響は、プラスチックやその加工メーカーにも大きな影響を与えている。海外移動が制限される中、プラスチックやその成形加工産業が見直され、海外生産からの国内回帰も議論されている。 さらに、コロウイルスの影響によって、テレワークや、人と接しない仕事が増え、今後はさらに製造現場での人手不足は加速していくことになる。製造業においては、これまで熟達者という職人のノウハウ、技、鋭い感覚などで製造現場が支えられたが、コロナ感染症の影響とベテラン技術者が高齢化している現状で、技術者が職場を離れる前に、暗黙知だったノウハウを形式知に変えていくことが必要である。これまでの技術ノウハウをデータベース化、AI技術やコンピュータシミュレーションなどを利用した効率的なものづくりへ、至急の舵取りと取り組みが必要である。また、ロボット活用、情報の共有化、情報処理による在庫管理や作業のリードタイム短縮化、効率化などが挙げられる。今後さらに、プラスチック産業への「スマートものづくり」が浸透することを期待している。
 さらに近年、プラスチック産業はマイクロプラスチックの問題に直面している。海洋ごみに代表されるプラスチックの環境問題は避けては通れない。コンビニやスーパーでのプラスチック袋の有料化が始まり、プラスチック製品の削減および使用制限は、地球規模で取り上げられている。海洋ごみとして取り上げられたプラスチックごみの問題は、全世界で活発な議論がなされており、プラスチックそのものが「悪もの」扱いされている。プラスチックの研究開発に携わる技術者や研究者は、これらの課題解決、およびプラスチックの発展のために、今後、何を行うか、を真剣に議論する必要がある。プラスチックは、我々の生活に必要不可欠な材料であることは間違いなく、今後ますます重要となる環境低減技術、リサイクル・リユースプラスチックの重要性、これらを実現する様々なプラスチック技術や、その成形加工という「ものづくり」技術などを伝えていく必要がある。
 プラスチック技術者(Society of Plastics Engineers)日本支部は、広範囲な産業分野の高分子材料・合成樹脂の材料や加工技術のプロフェッショナル技術者が集まっている。これまで通り、時代に沿った研究・技術の講演会、見学会を通じて、プラスチック分野の最新・最先端技術や基礎研究の話題を提供していく必要がある。今後とも、強固な会員ネットワークのもと、相互研鑽と会員のブレークスルー実現に向けて、着実に活動していく所存である。本分野に携わる多くの技術者のSPE日本支部への参画をお待ちしている。

Author: spejapan
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